BigBang ビッグバン

ハッブル則 v=Hr を説明する宇宙膨張は、 共動座標χをつかって、r=aχとして、
H=a/a と書けた。このとき宇宙の膨張はエネルギー密度ρとこれの臨界値 ρCRとの比Ωにより予言できた。すなわち
Ω>1なら現在は膨張しているが、ある時から収縮に転じる。
Ω=1なら永遠の膨張ではあるが、無限時間後にその膨張速度はゼロに近づく。
Ω<1なら宇宙は永遠に膨張してゆく。

物質宇宙
Ω=1 つまり E=0 の場合を考える。
=0であり、
 が成り立つ。
ここで、一様宇宙密度つまり密度ρは一定を仮定すると、半径rの球体内に含まれる質量は常に時間によらず一定なので、密度は 宇宙の拡大率 a のマイナス3乗に比例する(物質優勢宇宙の場合)。 すなわち 
また  の表記を用いている。 この方程式  は  の関係があれば常に満たされる。これを満たすaの時間依存性は  により実現できる。この場合   を使って ハッブル定数の逆数が宇宙年齢90億年を与える。
実はこれは物質(今我々を構成し宇宙を満たす物質)のエネルギー密度(ρ)は体積分の1でよい。1のサイズの体積中に入っている粒子数は同じとすると、宇宙が膨張して各辺の長さは2倍になると、体積はV=V0*(2)=8V0となる。エネルギー密度ρ=N*mc2/V、mは粒子の質量で E=mc2でエネルギーを表す。エネルギー密度は1/8倍となる。運動エネルギーに寄与は小さいので無視できる。


しかし光だけが入ってい空間では光子の個数が変化しなくても空間の長さが2倍になったため光子の波長は2倍に見える。光子のエネルギーは半分になるE(photon)=E0/2。エネルギー密度ρはρ=N*E(photon)/V=N*E0/2/8V=ρ0/16,
E=hν=h/λ、 E0=h/λ、E(photon)=h/(2*λ)=h/(2λ)=E0/2

つまり光子が占める宇宙ではエネルギー密度ρが宇宙の大きさaの4乗に反比例することがわかる、つまり ρ~a-4である。放射優勢の時代は ρ〜a-4 、 Ω=1ではΩ〜ρ/H2=a-4/(a/a)2=1
すなわち (a)2=a-2 従って a~a-1 これの解はa~t1/2 であればよい。a〜1/2t-1/2,
a-1~t-1/2 となり a~a-1 が満たされている。下の図はこの状態を示した。

全エネルギー密度ρは物質による分ρMと放射(光)による分ρRの寄与の和となる。
ρ=ρM+ ρRとなる。宇宙の広がりあるいは収縮は a(t)/a(t0) で表すことができる。
a(t)は時刻tのaの値、a(t0)は時刻t0つまり現在のaの値である。
過去へさかのぼるならa(t)<a(t0)、 t<t0と考える。
エネルギー密度の宇宙開闢からの時間による変化は次の式ととなる。ただし現在の値は測定値がありこれを出発点として過去を探る。
ρ(t)=ρM(t)+ ρR(t)=ρM(t0){a(t)/a(t0)}-3 + ρR(t0){a(t)/a(t0)}-4
現在の値は、ρM(t0)=10-6cm-3x1GeV=10+3cm-3eV,
ρR(t0)=400cm-3x2.5x10-4 eV=10-1cm-3eV, すなわちρR(t0)/ρM(t0)=10-4
ρR(t0)=NRkT=400cm-3 x 2.5x 10-4eV
ρM(t0)=NNmNc2=10-6cm-3 x 1GeV


ρ(t)=ρM(t0){a(t)/a(t0)}-4[{a(t)/a(t0)}+ρR(t0)/ρM(t0)]
2つの項の大きさがほぼ等しくなるのは{a(t)/a(t0)}〜ρR(t0)/ρM(t0)=10-4
a(t)/a(t0)〜10-4 宇宙が今の10000分の1であった時刻であることがわかる。
その時刻はa(t)~t(3/2)(宇宙の進化の議論)から
(t/t0)3/2~10-4から(t/t0)~10-4*3/2=10-6, t~10-6*t0=10-6*130億年=10-6*130*108 年=1.3*104 年 つまり宇宙開闢ご約1万年でこれが起きる。さらにこれより以前は放射優勢、つまりρ(t)=ρM(t)+ ρR(t) の第2項ρRが大きく、それ以降はρM
が大きくなる。物質優勢という。
つまり、宇宙の開闢から始まって1万年はaは時間の1/2乗で大きくなり、1万年ぐらいしてaは時間の2/3乗に変化する。そして現在もその膨張が続いている。と考えられる。つまり放射が初めにあった訳だからそのエネルギー源は質量ではありえない。E=mc2ではないということだ。ではいったいないか?それは相転移がおこるとき潜熱がでる。その潜熱が解放されたと考える。潜熱は例えば水が凍るとき、熱がでる。逆に氷を水にするには大量の熱(エネルギ−)を投入しないと氷を水にすることはできない。反対方向は熱エネルギーが外へでてくる。宇宙でもこれと同じように素粒子理論の真空の相転移による潜熱が解放されたことによるエネルギー分が光の残光として残りこれがCMBとして観測されているのである。

Ω〜1ではΩ= ρ/ρCR =ρ/(3H2/(8pG)) =1 よりρ8pG/3 H2=ρ 8pG/3(a/a)2=1
a~t1/2 であることを使うとρ32pG/3(a)-4=ρ32pG/3t-2=1 すなわち
ρRad32pG/3=t-2
となる、ここでρをρRadと放射優勢を意味するために書き足す。ρRad =NRad*k*TRad
とかける、ここでNRadは放射の数密度、kはボルツマン係数、TRad は放射の温度であるが、放射ではρ(t)~a-4 である。量子統計から1量子状態当たりの個数n=1/(exp(E-ρ)/kT-1) for 光子 ρ=g/2p2 (kT/ch)3kT In より
ρRad~T4 となる。ρRad32pG/3=t-2 なのでT4~t-2 から T~t(-1/2) つまり温度Tと時間tに一意的関係があることが重要である。従ってa~T-1となり、aが100億光年=1026mでT=3K ならば、T=1016 GeV=1025 eV, a=1cm


t~1sec (T~1MeV ~ 1011K) n+e <>p+ne などで平衡状態
t>100 sec (T~10keV ~ 109K) He 形成 原子核の形成 3分

t~104 year 放射優勢から物質優勢 
t~38x104 year 水素原子生成  光子が取り残される  3K CMBの元


t>40万年 銀河や星の形成 

反対側へ行こう
粒子は素粒子だけがばらばらと存在
t<1sec 
t~10-11 sec T~1015K 弱い力の分離  W/Z粒子  Weinberg-Saram
t~10-38 sec  T~1029K 強い力の分離 :クオークの閉じこめ 大統一
t~10-44 sec  T~1032K 重力の分離 時空の生成




「ビッグバン元素合成」と呼ばれる初期宇宙における核融合の理論
で、ヘリウム4、重水素、ヘリウム3、リチウムの4つの軽元素の存在比が見事に説明された



宇宙の創成
(分かっていない事のほうが多いことに注意)とりあぜ有りそうなシナリオを説明する。
宇宙の創成を「無からの創生」と呼ぶ理論がある。
宇宙のスケールaについて次の図のような説明をします。つまり宇宙が存在しなかったときには何もない、つまりa=0であったと。ここは本来安定点である。ある時、量子揺らぎにより、トンネル効果で a=a0に宇宙は飛び出た。そしてこのポテンシャルを転がり落ちつつ、aはどんどん大きくなったと。これじゃまるでおとぎ話ですが、量子揺らぎは物理学あるいは量子物理学では常識的な概念であり、宇宙全体に対して同様の量子化を行うことがすごいですが、できないことではない。この無からの創生であるが、本来宇宙の創生は時空要素の創生、物質の創生と相互作用の創出、などの過程と不可分に論じる必要があるが、未だに互いに絡み合って判然と分離できないばかりか、それぞれが完全には理解説明できていない問題であり、未解決である。今後の研究が必要である。