これは素粒子実験の極意です。ここではその極意を簡単な例について説明し、できることなら皆さんに実験によって確かめてもらいたいと考えています。実際に実験可能な装置を1998年8月の「青少年のための科学の祭典」(長野大会)に持ち込み多くの小学生達に楽しんでもらいました Fig-1 Fig-2 Fig-3 。
素粒子実験では「衝突実験」を行います。この衝突実験ではぶつける物とぶつけられる物(標的)があります。実験者はぶつける物を標的に向かって進めてその跳ね返り(散乱現象)の状態を観測し、ぶつけられた物の状態(ここでは形)を推測することができます。
例えば次のような図を見て下さい。(1)ではなにもないためすべての粒子(ぶつける物)がまっすぐ進んで行きます。結局なにも曲げられないし、変化しません。これではなにも無かったといえますね。(当たり前ですが)
次に(2)ではぶつけられる物として四角形をおきます。すると、形のある場所はまっすぐ入ってきた粒子がまっすぐ返って行きそこにある形(ここでは平面あるいは直線)が分かります。
(3)では形を円形に変えてみました。ある物はまっすぐはね返りますが、ある物は入ってきた方向へある角度もって曲げられて進んで行きます。
(4)の三角ではぶつかった後の粒子は平行に同じ方向に飛んで行きます。
(5)また「おうめん」を作ると衝突後戻ってくる粒子の方向が俄然変わってきます。
この様にここでは目に見える衝突を使って理解できるように、実験を行いました。
実際の衝突実験では、ぶつけられる物(標的)の形というよりはどのような力を受けて衝突後粒子がどの後方にどれだけの速さ(運動量)でどのくらいの割合でとんでゆくかということが問題となります。
これらの測定からぶつけられる物とぶつかった物の間に働く力の性質とそこにあるぶつけられる物の性質を知ることができます。